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曲がった鼻・斜鼻の治療を、2ステップで”目で見て”理解する

斜鼻 MRI 説明

こんばんは。東京で美容外科をしている形成外科専門医の齋藤隆文です。

生まれつき、あるいはけがをして鼻が曲がっている、鼻のつまりがひどい、鼻の穴に左右差がある。皆さんの周りにも、そんな方、いらっしゃるのではないしょうか?これらの症状は、手術による治療で改善できる可能性が高いです。

この記事では、私が専門の一つとしているお鼻(美容整形としての鼻手術、斜鼻しゃび、鞍鼻あんびなどのお鼻の変形)の手術治療について、実際のお写真を見ながらその流れをご紹介します。

いきなり、

さいとう隆文

これ、手術で改善できますよ!やりましょう、手術!

と言われても、

患者さん

え!そうなんですね、じゃあお願いします!

と即答できる方はそうそういらっしゃらないと思います。

というよりも、即答できるという方には、一度あたたかいお茶でもゆっくりと飲みながら、手術内容やリスク、担当医の人間性(これが一番重要かもしれません)などを理解してから受けよう、と切り替える時間をぜひ作っていただきたいと思います。

さて、ご自身の鼻の曲がりを治療するにあたり、画像検査がとても有用です。検査結果をドクターと確認することで、自分の鼻の中の曲がりがどのようになっており、それが外側の曲がった形にどう影響を及ぼしているのかを正しく理解することができます。

そこで、この記事は画像の助けを借りながら、以下の2つのステップでお鼻の手術について解説していきます。

  1. MRI検査画像を見ることで、お鼻の中がどうなっているかを理解する
  2. 実際の手術前後の写真で、斜鼻治療による変化を理解する

では、いきましょう!

目次

鼻の曲がりの手術を受ける際には、鼻の中の曲がりを画像で確認!これ、必須です。

斜鼻 術後 正面

今回取り上げるのは、お鼻の曲がりと空気の通りを同時に改善させる治療です。こちらのお写真は、お怪我による鼻骨骨折で斜鼻となった患者さんの術後写真です。

鼻をぶつけたあとから、鼻の通りが悪くなった。でも病院でCTとったら骨は折れてないって。

患者さん

じゃあ、なんで鼻詰まってんねん!

こんな患者さん、実は結構いらっしゃいます。耳鼻科の先生から、

某ドクター

多分軟骨の曲がりが原因の、いわゆる斜鼻(しゃび)だねー、鼻オタクのドクター紹介するよ、

と私のところに紹介になるケースもあります。

私のお付き合いさせていただいている耳鼻科の先生は、見た目の診断もスペシャリストです。鼻の曲がりには様々な原因があり、専門家の先生にきちんと診断してもらうことが重要です。

軟骨の骨折を疑った時、聖路加国際病院ではM R Iという画像検査ができます。私の先輩の先生方が苦労して、鼻専用のM R I検査を完成させています。先人・先輩はいつでも、偉大です。

あまりにも精密すぎて、この設定で検査ができるのは今のところ当院だけみたいです。当院では放射線科のドクターや技師さんも一流です。

さて、画像検査を施行して、骨はあまり大きな変形がないものの、やはり軟骨性の斜鼻(しゃび)を認めました。こんな感じです。MRI検査では軟骨がどこでどのように曲がっているが一目瞭然(いちもくりょうぜん)です。CT検査では軟骨は描出(びょうしゅつ)されないので、貴重な検査だと考えています。

実際に患者さんが当院にいらっしゃった場合は、一緒に画像結果を見ながら、骨、軟骨の曲がっている部分を確認します。

特に、どの部分が曲がりの原因になっているかを認識してもらうことで、術後変化やリスクについても正しく理解してもらえると考えています。

ここで一つ大事な話。

WHOが世界の先進諸国の医療状況について評価をまとめたことがあります。我らが日本は、ほとんどの項目で最高ランクのAを獲得(かくとく)しており、理想的な医療システム、医療のクオリティとして高く評価されています。

そんな日本ですが、唯一最低ランクに評価付けられている項目があります。

それは、”患者の病識、病状理解”です。つまり、日本人は患者さんとして医療にかかる時、自分の病状を正しく理解しないまま治療を受けている、という評価です。

みなさん、自分や周りの人たちに当てはめて一度考えてみてください。

  • 自分の病気について正しく説明できますか?
  • 自分の飲んでいる薬の作用、副作用についてきちんと説明できますか?
  • 自分の今までに受けた手術について正しく伝えることができますか?

医者の考えに任せっきりになるのは、日本の医療が信頼できることの裏返しでもあり、ドクターや医療関係者の日々の努力の賜物(たまもの)なんだろうとは思います。ただ、治療を受けるのは他の誰でもない”あなた”です。

私はドクターになったばかりの時期にこんな日本の医療事情について、色々と勉強をする機会がありました。ここからは完全に脱線するので、興味のない方は下へスクロールしてください。笑

アメリカ研修 集合写真

これは私が25歳の時にアメリカのメリーランド州で医療機器の開発研修をしていた時の記念写真です。本当に懐かしいです。

当時初期研修医をしていた私は、すでに形成外科医になることを決めており、将来は新しい医療機器の開発とかもやってみたいな〜なんて考えていました。

そんな時、厚生労働省の未来医療研究人材養成拠点形成事業(この手のタイトルが常に長いのは何故なんでしょうか)なる、なんとも怪しいプログラムの案内が回ってきました。

なにやら、医療機器開発に関しても学べる内容であることがわかり、応募してみたところ、採用が決定しました。

しばらく大学院での講義やワークショップを重ね、半年が経った夏に、アメリカの某大手医療開発グループへの短期インターンが決まりました。

そこでは、医療機器開発の最初の最初のアイデアの発見に始まり、アイデアを実際に医療機器のデザインに落とし込む流れ、デザインから医療機器を実際に作成し、今度は医療機器として承認を受けるための様々な試験を繰り返す工程を学びました。

また、並行して病院へ実際にドクター訪問し、臨床使用における改善点のディスカッションなども必要とされます。こんなことを学ばせてもらいつつ、現地のスタッフ達に日本の医療事情を紹介する機会がありました。

世界各国の医療事情を取り上げつつ、先ほど述べたような、日本の患者さんは自分の病気あんまり理解してない問題を紹介すると、それはそれはみんな驚いていました。アメリカでは、自分の体は自分で守るという発想がしっかりあるようです。

日本の場合、鼻の手術を例にとって考えてみると、

患者さん

鼻の曲がっている原因とか治療法のことはよくわかんないけど、先生はプロなんだから大丈夫でしょ

と、完全し信頼し切って治療を受けたものの、ひどい合併症が起こり、こんなこと聞いてなかった、と先生に問い詰めるも、

某ドクター

「説明しましたよ」

の一言で片付けられてしまい、それが書かれた同意書を前に何も言えなくなった、と言って私のところに相談にいらっしゃる患者さんは少なくありません。

詳しいところは任せるとしても、最低限自分の言葉で説明できるくらいの病状・治療法を理解しておきましょう。

そうすれば、絶対に起こって欲しくないリスクがある治療法は選択しないで済むかもしれません。また、事前に正しく理解しようと努力すれば、少なくともおかしな事を言っている先生に捕まるリスクも減らせると思います。

理解できない説明をする先生はやめておくのが安全です。

実際の曲がりの画像と、術前後の変化を写真で理解する

斜鼻 MRI 説明

で、鼻の話に戻ります。

こちらの軟骨の変形が原因で鼻詰まりと鼻の曲がりが生じていますので、手術で修正する方針となりました。

通常は、全身麻酔で行います。

オープンアプローチという、鼻の穴の中と、鼻柱びちゅう(左右の鼻の穴の真ん中にある皮膚の部分)に小さな切開をして行います。キズアトは術後ほとんどわからないくらいきれいになります。

真ん中の曲がった鼻中隔軟骨びちゅうかくなんこつを曲がっている部分だけ切除して、残した軟骨部分を補強して、まっすぐに鼻筋を治します。また、鼻の左右の面も非対称がありますから、丁寧にこれも揃えていきます。造形です。

手術の後は、曲がりだけの治療の場合は日帰りか1泊入院、鼻詰まり治療も同時に行う場合は2泊が原則です。斜鼻(しゃび)治療の詳細な流れについては、他の記事でも説明しています。参考にしてください。

今回の患者さんについては、術前と術後9ヶ月のお写真を提示しています。

斜鼻 術前後 正面
斜鼻 術前後 斜め
斜鼻 術前後 横
斜鼻 術前後 あおり

まとめ

鼻の曲がりを直したいと思った時には、まず画像検査をお願いしましょう。特に美容外科では、ろくに画像検査もせずにいきなり手術をしちゃう、ちょっとアレなドクターもいますので注意してください。

きちんとしたドクターであれば、検査が不要な場合は、不要な理由を丁寧に説明してくれるはずです。

そして、画像検査を通して自分の鼻の問題点をしっかりと理解しましょう。ドクターに任せっきりはおすすめしません。問題点がわかり、適切な治療プランが立てば、ここからは外科医の腕の見せ所です。

  1. 鼻をぶつけて、曲がってしまった
  2. 鼻をぶつけて、骨がまっすぐなのに鼻が詰まっている
  3. 鼻が曲がっていて、治したい
  4. 鼻が曲がっていて、手術を受けたら見た目や鼻閉がひどくなった

こんな方は、私たちがお力になれるかもしれません。一度、ご相談されてみてはいかがでしょうか。

手術の前に大事にしていること

お顔の左右差、全体のバランスを一緒にお写真で見ながら、患者さんとその方の自覚している”曲がっている”を共有できるように努力しています。

曲がりを修正していく中で鼻の高さや長さについてももちろん変化が起きるので、ご自身が認識されているお顔の特徴・コンプレックスを確認して、手術による変化でそれらが悪い方向にいかないかを確認します。

こういったことを確認するツールとして強力な武器となるのが、写真を使ったシミュレーションです。

写真を手術プランに沿って修正していきながら、術後の形のイメージを事前に共有しておくことで、患者さんにも手術による変化に対する心の準備をしてもらうようにしています。大切な作業だと考えています。

ご注意いただきたいこと
  • 患者さんの個人情報の保護のため、ご本人とのお話の内容は一部変えています。あくまで、一般的な治療の流れを理解していただくための、イメージだと考えてください。
  • 治療の効果には個人差があります。主治医から十分な説明を受け、リスクや副作用についても納得してから手術を受けましょう。

治療についてのご相談や受診のお問い合わせについては、当HPトップページの予約フォームからご連絡ください。

今回の治療内容について

施術内容:鼻骨変形治癒骨折矯正手術、鼻中隔矯正術

*この方は、保険治療として、上記手術を全身麻酔で行いました。

鼻の手術のリスク:術後出血、感染、傷が開く、曲がりや変形の残存、鼻閉の残存、後戻り、など

費用:この方は、保険治療で、手術にかかる費用は高額療養費制度の対象となりました。費用は約5〜26万円が目安となりますが、詳しくは厚生労働省のH Pをご参照ください。これ以外に、入院日数により入院費用がかかることがあります。

*美容目的の場合は、上記の術式の場合約90〜120万円となります。モニター制度がありますので、詳しくはお問い合わせください。

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この記事を書いた人

さいとう 隆文のアバター さいとう 隆文 美容外科医

齋藤隆文 さいとうたかふみ
日本形成外科学会認定専門医
神戸大学医学部医学科 卒
聖路加国際病院形成外科美容外科、加藤クリニック麻布、タウン形成外科クリニックに所属。
専門はお顔の美容外科、特にお鼻の治療。

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